【書評】『自分の意見で生きていこう』を読んでみた~正解のない問題の考え方~

【書評】『自分の意見で生きていこう』を読んでみた~正解のない問題の考え方~ | Tableau-id Press -タブロイド-
書評_自分の意見で生きていこう

こんにちは。2023truestarアドベントカレンダー 21日目!担当はたまるです。

いきなりですが、truestarでは「教育給付金」という制度があり、社員であれば月に2万円までの書籍・資格受験費用などの補助が出ます!
それを活用させて頂き2023年も多くの本を購入したのですが、その中でもおもしろく印象に残った ちきりん さんの『自分の意見で生きていこう』という本を紹介します!

■「意見」と「反応」の違い

この本ではタイトルの通り「自分の意見を持とう」ということが繰り返し書かれています。では「意見」とはなんでしょうか。
本書の考えでは「意見を示すこと=ポジションを示すこと」と言えるようです。

本を引用すると、例えば
1:「会社に頼らずに生きていけるよう、プログラミングを勉強すべきだ」という意見に対して、
2:「プログラミングを学んでも、食べていける場合と食べてはいけない場合がある」
3:「これからはプログラミングができても、食べてはいけないのでは?」
といったやりとりがあったとして、ここでは1は「プログラミングを学べば、会社に頼らず食べていける」というポジションを取っているので、意見。
対して2,3はポジションが明確ではありません。この場合、意見ではない、となります。(このように、意見ではない発言を本書では「反応」と読んでいます)

確かに、ポジションを示すことは勇気のいることですよね、、だって、自分の意見が間違ってるかもしれないし、、
しかしそもそも「プログラミングを学べば、会社に頼らず食べていけるかどうか」は正解のある問題でしょうか。
意見1に対しては、それと違った意見2があり、また違う意見3があり、どれも「間違った意見」にはなりません。

これについて、著者のちきりんさんはこう書いています。

「正解がない」ということは「誤答もない」ということです。そもそも「答え」自体がないのだから、正しい答えも間違った答えもあるはずがありません。

一方「2+2がいくつか」には「4である」という正解があります。
これに対して「2+2は6だ」と言ってもそれは単なる誤答であり、正解のある問題に「意見」はなく、知識として導ける「正解」だけがあります。

そう考えると、意見を持つということは、「正解のない」問題について自分なりの考えを持っていることになりますね。
正解のない問題に立ち向かっている時点で、胸を張ってよいくらいに思えてきませんか?、笑

■ビジネスにおいて、自分の意見・人と異なる意見を持つということ

では、意見が求められる場面とはどのようなものでしょうか。
弊社業務のひとつであるBIコンサルやデータ分析はいい例だと考えます。

「わが社でBIツールAを導入すべきか、BIツールBを選ぶべきか」
「BIツールAで行く場合、プランαとプランβはどちらがいいか」
こういった問題についてたずねた時に「ツールAを選んだ方がいいかもしれないし、ツールBを選んだ方がいい場合もある」と答えられても、困ってしまいますよね。

上記は極端な例ではありますが、我々のようなクライアントへのソリューションを提供するサービスの場合、その「意見」が求められているし、ある意味その意見に対して対価が支払われているとも考えられます。
つまり「意見」には価値がある、ということです。

また、意見を持つことは信頼関係を築いていく上でも大切です。
新しい企画について自分の意見を求められたときに、空気を読んで異なる意見を言わない、また「お任せします」と丸投げしてしまうと、摩擦は起きないかもしれませんが、実のある議論は出来ません。
同じ目的を持ったコミュニティに属している場合は、その姿勢や熱意の差のある状態で、仲間意識を持って貰うのは確かに難しそうです。

意見の相違がなく話し合いが出来るならそれに越したことはないのかもしれませんが、、、やはりビジネスにおいて、正解のない問題を考えていくことは避けては通れず、その中でも意見が相容れないこともありますよね。
これについても ちきりんさんはこう書いています。

議論とは、複数人がそれぞれ「自分の意見」を表明し、それらを全員で比較したり深堀りして、どの意見を採用すべきか、さらによい意見を見いだせないかと検討することです。

こう考えると、自分の意見が違うことは今はまだない価値を生む源泉になるかもしれません。
それでも、僕も自分の意見を否定されて落ち込むことはありますが、、やはり同じ方向を向いているからこその議論だと思うと、真摯に受け止めようという気持ちも生まれてくる、というのはわかります。
(もちろん、誰かの反対意見をいうことが目的化してはいけないし、その伝え方も言葉を選ぶものではあるのでお互い神経を使う行為でありますよね、いやまじで。。その伝え方も、ある意味スキルかもしれません)

少し話がそれるかもしれませんが、分析業務を進める上でも、問いに対しての「仮説」が重要になります。
その仮説を立てることで分析の方向性が明確になりますし、その仮説に沿うことが目的かというと、仮説とは異なる、という結果を得ることもある意味成果と言えます。
そういう意味では、自分の意見でポジションを示すことは、分析において仮説を立てることにも似ているかもしれないなと思いました。

■まとめ:自分の意見を持てるようになるには

色々と書いてきた通り、僕はこの本を読んで、自分の意見を持っていきたいなと思いましたし、周りの人の意見ももっと聞けるようになりたいなと思いました。
本書の最後では、意見を持つことについての練習として、以下の4ステップが紹介されています

ステップ1:レベルをチェックする
ステップ2:ムリにでも意見を言い切る
ステップ3:自分で自分に突っ込む
ステップ4:言語化する

もちろん、ゆるい普段の雑談について議論が始まったら疲れてしまいますし、なんでもかんでも意見をいうべきだ、というつもりはないのですが、もし興味を持った方は、ぜひ読んで詳細を確認してみてください!
また、本書を読みながら「意見」「反応」「正解」の違いなど、細かい用語の使い分けを意識して行う、ということも大事な視点だと思いました。

長くなりましたがアドベントカレンダー21日目は以上です。ここまで読んで頂きありがとうございます。
この記事を読んだみなさんがどんな意見を持ったか、考えてみてくれたら嬉しいです!