※ (2023/08/10) 時は流れてTableau OnlineはTableau Cloudに名称が変わったので反映しました。
※ (2021/08/02) 見ていただいた方からご指摘いただきTableau Readerの存在を忘れておりました。ごめんよTableau Reader…。指摘いただいた方、ありがとうございます。
「Tableau」を冠する製品の大前提
一口に「Tableau」といっても"Tableau"の名前を冠する製品は複数存在します。今回はTableau未経験者の方々にも理解できるように「いまさら聞けないTableau製品の違い」と題してそれらの違いや特徴を誤解を恐れずなるべく簡潔に説明します。
まず混乱する原因の1つとして、”Tableau~”と名前がつくものにはTableau社が提供する製品群のほかに、製品を利用するためのライセンス群にも”Tableau ~”という名前が付いています(Tableau Creator, Tableau Explorer, Tableau Viewer)
これらは「製品を利用するためのライセンスの種類」の名称ですので、これらと混同しないように注意ください。今回は”製品群”の話なのでTableauのライセンスについては弊社のBlog記事「Tableau入門: Tableau「管理者」として知っておきたいこと」内にある「Tableauのユーザライセンス体系」のコンテンツをご覧ください。
製品群は大きく3つにカテゴライズできそれぞれBI、ETL、MLですのでこのまとまりで説明していきます(Tableau社がカテゴライズしているわけではなく個人的な解釈として)
BI(=可視化分析)関連6製品
Tableauのメイン製品群であるBI製品は大きく5製品存在します、種類が多いので初めは混乱の原因となりがちですが、それぞれ利用目的や特徴が異なるので正しく理解し選択したいところです。
Tableau Desktop
PCでデータの可視化、分析
Tableauのメイン製品といえるものでTableau = Tableau Desktopといってもそれほど支障はないと思います。
*23/8/10 追記:昨今はTableau Cloudでできることも大幅に増えたので時代は徐々にCloudに移動しています。が、それでもDesktopはまだ強い。
既存のデータをグラフ表現などを利用して可視化、分析するためのツールですが形態としての特徴はインストール型のソフトウェアであるという点で手元のPCにインストールして利用するのが基本です。多彩な表現をもつTableauの画面はこの製品を通して作成することができます。
特徴
- Tableauの根幹となるメイン製品
- グラフ表現などを利用して画面を作成し可視化、分析をする
- PCにインストールして利用するインストール型
Tableau Server
独自サーバでデータを共有
Tableau Desktopと同じくデータを可視化分析するための製品なのは間違いありませんが、こちらはサーバインストール型の製品で主目的は画面の作成というより作成された画面を複数人で共有することに主眼が置かれています。形態としての違いはユーザはブラウザを経由してTableau Serverにアクセスして利用することになります。
またサーバインストール型なのでインストールするためのサーバや、その運用は全て自分でまかなうことになります
Tableau Desktopのように画面を編集すること(ブラウザ経由で)もできますが、Tableau Desktopに比べれると機能が制限されています。基本的にはTableau Desktopで作成された画面をTableau Serverにアップロード(Tableauではパブリッシュと呼びます)し、ブラウザを通して複数人がその画面を閲覧利用するというケースがよくあるパターン。
特徴
- Tableau Desktopで作成した画面を製品利用者内で共有
- ブラウザ経由の操作、簡易的な画面編集
- サーバインストール型、サーバは独自に用意
- インストールバージョン等の運用も自身でコントロール
Tableau Online -> Tableau Cloudに名称が変わりました
Tableau社管理のクラウド環境でデータを共有
Tableau Serverと同様にサーバ上でデータを複数人で共有することができます。Tableau Serverとの大きな違いはTableau CloudはTableau社が管理するサーバ上で展開されるクラウド型のサービスということです。
前述したTableau Serverは自社運用するサーバにインストールして利用するタイプなので、当然サーバそのもの用意や運用、Tableau Serverのバージョン管理などは全て独自にやる必要がありますが、Cloudの場合はそれらをTableau社に丸投げすることができます。またTableau Cloudのバージョンは常にその時の最新版が適用されており、自身で更新運用する必要はありません
リリースは年4回四半期ごとに行われており基本的にダウンタイムはありません
2023年8月現在の大きな変化としてはログイン時にに、MFAという多要素認証(手持ちの携帯端末などを経由する認証方式)が必須になりました。
特徴
- Tableau Desktopで作成した画面を製品利用者内で共有
- ブラウザ経由の操作、簡易的な画面編集
- Tableau社管理のクラウド型で独自の管理不要
- バージョンは常に最新版
Tableau Public
全世界にVizを公開
Tableau Publicは今までの上述した製品とは少し性質が異なっていて、製品というよりはTableau Desktopで作成したViz(データを可視化した画面)をインターネット上に広く公開共有するためのTableau社管理の公開プラットフォームサイトのことです。Tableau Public上には世界中からアップロードされた様々なVizが存在するので多彩な表現を閲覧したり、”Tableauダッシュボード”としてVizをダウンロードしTableau Desktopでそれを開くことで中身の作りを確認したりすることもできます。
サイト自体はTableauのライセンスがなくても閲覧可能なので、自分が作成したものを公開し広くアピールすることができます。あくまで公開用のプラットフォームなので画面の編集などはできません。
- Tableau Desktopで作成した画面をインターネット上に公開するためのプラットフォーム
- 様々なVizの閲覧やダウンロードが可能
- Tableauの製品ライセンスがなくてもサイトの閲覧が可能
- サイト上で画面の編集は不可
Tableau Reader
無料で使える閲覧専用の製品
Tableau Readerは閲覧専用の製品です。PCインストール型で無料で利用することができます。Tableau Desktopで作られたVizを手元のPCで開いて見ることができますが閲覧のみの製品なので新たに作成したり、開いたファイルの編集はできません。また外部データソースを参照するVizも開けないので、データがファイル内で完結するパーッケージドワークブックと呼ばれるTableauのファイル(.twbx)のみ扱うことが可能です。(twbxでも外部データを参照する場合は開けない)
特徴
- 無料で利用可能
- PCにインストールして利用するインストール型
- Tableau Desktopで作成されたVizを開くことができるが、制限あり
Tableau Mobile
モバイルアプリ
Tableau Mobileは前述したTableau ServerやTableau Onlineにアクセスするための窓口となるモバイルアプリです。あくまで閲覧用のアプリという位置づけの製品。(個人的には少し存在感の薄い製品だったりします)
ETL(=データ加工)関連製品
メインの製品群に話を戻します。
ETLとは簡単にいえばバラバラのデータを整理、加工、統合する事前の加工処理のことをいいます。Tableau のETL製品はBI製品群より歴史は浅いですがTableauにもETL製品が存在しています。
Tableau Prep Builder
データの事前加工
Tableau Prep BuilderはTableau Desktopと同様にPCにインストールして利用する製品です。GUI上の操作でデータを取り込み、整理、統合、加工しデータを出力することができ、Tableauで利用しやすいようにデータの前準備することに主眼をおいた製品です。
基本的にノンプログラミングで作ることができプログラムを知らないユーザに優しい設計になっており、データ加工をリアルタイムに確認しながら処理を作成することができます
既存のデータに接続できるように、エクセルやデータベース等様々なデータ元を想定したコネクタも豊富に用意されています
後述するTableau Prep Conductorと合わせてTableau Prep製品群でまとめられることもありますが、個人的にはTableau Prep = Tableau Prep Builderという文脈で話していることが多いです。
特徴
- データの事前加工(ETL)のための製品
- GUI上でD&Dを利用した簡易な操作性、ノンプログラミングでユーザフレンドリー
- 既存データに接続するための種々のデータコネクタが利用可能
AI関連製品
最後に詳細するのは一番最近仲間入りしたTableau CRMです。この製品は他の製品とは少々毛色が異なっています。
Tableau CRM -> CRM Analyticsに名称変更されてました
salesforceのAIを利用した分析基盤
Tableau CRMは元々salesforceの製品である 「Einstein Analytics」という製品の名称のみが変更され「Tableau CRM」となりました。なのでこれはあくまでsalesforceの製品群の中の1つという位置づけで、利用にはTableauではなくsalseforce側のライセンスが必要になります。AIや機械学習を利用した分析が可能な製品となりますが、他のTableau製品とは根本的にことなる製品なのでここでは深く掘り下げません。弊社のブログ記事「Tableau 2021.1 の新機能 Einstein Discovery ためしてみた」にてTableau CRMとそれを取り巻く機能について掲載していますので詳細について知りたい方はそちらがおすすめです。
特徴
- salesforceの製品群の1つでもある
- AIや機械学習を利用した高度な分析を提供する
- Tableauのライセンスとは別にsalseforceのライセンスが必要
おまけ1:Tableau Data Management(アドオン)2つ
Tableau Data Managementは前述したTableau ServerまたはTableau Onlineに付属するアドオン的なツール群の総称です。
これらには
- Tableau Prep Conductor
- Tableau Catalog
という2つのツールが存在しますが、サブ的な存在のものなのでざっくりと説明します
Tableau Prep Conductor
Tableau Prep Conductorは後述するTableau Prep BuilderをTableau ServerまたはTableau Onlineで自動実行するためのツールです(4つも製品名が…多くて混乱しますよね)
Tableau Catalog
Tableau Catalogはいわゆる”データカタログ製品"のTableau版でTableauで利用されている画面、データ、加工処理などの関連性を可視化し、データの信頼性などを利用ユーザに共有することができるツールとなっています。
これらはいずれもTableau ServerまたはTableau Onlineありきのツールになります。
おまけ2:Tableau Bridge
Tableau Bridge
少々地味な製品なので、なじみの薄いものだったりするのですが何かというと、Tableau Onlineから直接接続できないオンプレ内に存在するデータとをつなげる橋渡しの役目をする製品です。こちらはTableau Onlineとセットで動かすことが前提です。
最後に
以上大小11個の製品について、あまり細かい部分にはふれずにざっくりと概要に触れていきましたが、もしかしたらTableauは知っていても1つぐらいは聞いたことない製品名があったのではないでしょうか。実際Tableau Bridgeとかは筆者も1度しか扱ったことがなく記憶の彼方だったりしました。実際のところTableau未経験者が一番初めにわからなくなるのがServerとOnlineの関係性だったりしますが上述したように違いは明確ですので利用用途によって選択肢がはっきりすると思います。多少でも参考になれば幸いです